2.1. 個人的な感情を排する


記事のアイデアについて考えているとき、2つの問題が発生する可能性があります。
一つは、感情がバランスの取れた取材の邪魔になる場合があることです。 例えば、公務員の行動に非常に腹を立てて、事実に重きを置くより、辛辣な批判に満ち記事を書いてしまう場合があります。 ジャーナリズムの原則を破ってはいけません。自分自身の感情に向き合い、信頼できる助言者や仲間に相談し、確実に事実に基づく記事にすべく全力を尽くしてください。

もう一つの潜在的な問題は、個人の経験でしかないことを傾向として当てはめているかもしれないということです。
他にどのくらい多くの人が同じように影響を受けているのか知ることが必要です。あなたは、ジャーナリストであるから、男性だから、または教育レベルが高いからなどで特別扱いを経験していませんか?  他の人も同じことを経験しましたか?  問題は毎日発生しますか、それとも1回限りですか?
探査報道は、ただ一つの事例の範囲を超えたものに広げなければなりません。 個人的な経験について書くことは、探査報道ではなく、コラムの題材です。それを探査報道にするためには、理由や動機を探し、事柄の関係性を理解し、さまざまな人に取材します。最終的な記事は個人的な不満を超えた何かを表現するものでなければなりません。

これは、同僚や友人からの逸話や「内部情報」にも当てはまります。 彼らの経験は本当のことかもしれませんが、全体を代表的するものではなく、偏見がある可能性があります。 さらに、問題を直接経験していない可能性がある友人から伝えられる又聞き情報は使わないよう避けてください。 名前、住所、そして取材できる人物にまで遡ることができない限り、噂や都市伝説にすぎません。 経験は取材の出発点になり得ますが、出発点にすぎません。

さらに、センター・フォー・インベスティゲイティブ・ジャーナリズム(Center for Investigative Journalism(CIJ))の次のアドバイスを心に留めてください。

「あなたの知り合いの中には、守秘義務のある仕事に携わっている場合があります。 たとえば、警官です。 ですから知人からどのように情報を得るかについて、まず考えてください。友人や隣人であるからといって、その人たちが喜んであなたを助けてくれると勝手に思い込んではいけません。 その人たちの人生を窮地に陥れてしまうかもしれません。 誰かの個人的なストーリーを使う場合は、常に許可を得てください。」